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おうちDEリハ

自力で行うジグリング(びんぼうゆすり)

・びんぼうゆすり自体をすることが出来ない
・意識をして長時間行うことが困難
・筋疲労、筋肉痛を起こす可能性がある

自力で行うジグリングでも、これまで十分な効果が得られることはわかっていますが、意識をしてジグリングを行うことは難しいものです。しかし、これが無意識に行われるように癖になるまで行うと良好な結果が得られます。

Dr.'s View

Dr’s view では、医師の方々の知見をインタビュー形式で、ご紹介させていただきます。

今回は、福岡県中間市の新中間病院の整形外科部長上戸先生にインタビューをさせていただきました。

医療法人秋桜会新中間病院整形外科部長 上戸康平(かみと・こうへい) 【プロフィール】 2006年、鳥取大学医学部卒業。日赤長崎原爆病院、長崎大学病院臨床研修センター、同大学病院整形外科、長崎県島原病院、長崎市民病院(現・長崎みなとメディカルセンター)、北九州市立八幡病院、大分県立病院などでの勤務を経て、2018年4月より現職。日本専門医機構認定整形外科学専門医・日本整形外科学会認定リハビリテーション医・認定スポーツ医

「おうちDEリハ」でSTAY HOMEを乗り切ろう‼

新型コロナウィルスの影響で医療にも変化が問われる中、在宅医療の今後を臨床医としてご活躍の医療法人秋桜会 新中間病院整形外科 上戸康平医師にインタビューを行いました。上戸先生は、ジグリングを積極的に採用され、変形性股関節症・変形性膝関節症(以下 股OA・膝OA)を罹患されている方々の治療にあたっておられます。

質問者:コロナ禍で医療物資の不足や不要不急の活動の自粛が言われています。現状はいかがでしょうか。

上戸:当院でも股OA・膝OAの患者さんが多く通院されています。受診時に検温を行い、待合室でも換気やソーシャルディスタンスを徹底するなど、安全に通院していただける環境を作っています。しかしながらご家族が通院リハビリテーションなど頻回の通院を心配され、通院患者数が減少しているのも事実です。
また日本整形外科学会からも「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う整形外科手術のトリアージについて」として、個人防護具など医療物資の不足を見込まれる状況になった場合、人工関節置換術などは「延期を検討する」というガイダンスがでています。実際は各病院での判断になるようですが、多くの病院で人工関節置換術などは延期となっているようです。
実際私のジグリング外来にも「自分の手術が延期になって困っている」と受診された方もいらっしゃいます。

質問者:リハビリに通うのも気が引ける、手術もしてもらえないという患者さんは、どうしたら良いのでしょうか。

上戸:自粛で安静が増えることにより、股関節痛・ひざ痛が和らいでいる人もいるかもしれません。それは良いことなのですが、根本的な解決にはなりません。私は「自粛をチャンスに変えましょう」と説明し、「おうちDEリハ」をお勧めしています。

質問者:上戸先生の推奨される「おうちDEリハ」とは?

上戸:自宅で、一人でできるリハビリテーションです。詳しくはジグリングのことを指します。
ジグリングは1日1~2時間行うことにより関節症の進行を遅らせたり、改善させたりする運動です。当院でも股OA・膝OAの方にお勧めしています。膝OAの方は昨年の第32回日本臨床整形外科学会学術集会で発表させていただきましたが、平均年齢80歳の17名に1日平均70分、2か月間ジグリングをしていただきました。17名のうち8割の方の痛みが半分以下になり、6名で鎮痛薬が不要となりました。
質問者:薬がいらなくなるというのは凄いですね。
上戸:筋肉の過緊張が改善されることにより、痛みが改善されると考えています。事実痛みが改善した方は歩容(歩く姿勢)がよくなっていますし、残念ながら改善していない方は歩容が悪いままです。

質問者:なるほど。どういった方が良くなるのでしょうか。

上戸:ジグリングに関する研究は進められておりますが、まだ今のところ「こういう人は良くなる」といえるところまでは至っていないようです。今後の、研究発表に期待をしているという現状です。しかしながら、OAによる股関節痛・ひざ痛で悩んで受診しているのであれば、「他にやれることも少ないし、やってみたら?」と提案しています。継続しないと効果は表れませんので、ジグリング外来では希望者には10分間程度デモ機をもちいてジグリングをしてもらっています。
またジグリングは開始後に一時的に炎症が強くなり、痛みが増すことも多いです。ですので一時的に痛み止めを増やしたりします。

質問者:上戸先生のお話から、STAY HOMEが叫ばれている中、「おうちDEリハ(ジグリング)」は股関節痛・膝関節痛で悩んでいる方には、一考の価値はあるかもしれないと思いました。
上戸先生、お忙しい中お時間をいただきありがとうございました。